不動産の売却には、2つの方法があるのを知っていますか?
1つは、不動産業者に入ってもらい買い手を探す「仲介」、もう1つは、不動産会社に直接買い取ってもらう「買取」という方法です。
どちらの場合も窓口は不動産業者になりますが、売却方法や流れは大きく異なります。
今回はそれぞれを比較しながら、「買取」のメリット・デメリットや売却までの流れをご紹介します。

買取仲介
買主不動産会社主に個人
広告や内見などの販売活動しないする
不動産業者による「買取」のメリット

不動産業者に直接売却する買取は、「仲介」と比べて以下のようなメリットがあります。

買取仲介
売却期間数週間2~3ヶ月くらい
仲介手数料無料かかる
広告・内覧一度だけ必要
瑕疵担保責任免責(問われない)あり
リフォームの必要なしあり

短い期間で売却できる

仲介は買い手を探すため、時間が必要となります。
価格や条件によって異なりますが、一般的に家やマンションの売却まで2~3ヶ月程度を要すると言われています。買取はこの期間が大幅に短縮され、通常、数週間程度で完了。売却をスピーディーに進めたい人にとって、大きなメリットと言えます。

仲介手数料が不要

不動産業者に直接売却するため、仲介手数料はかかりません。
仲介手数料は取引額によって金額が異なりますが、数十万円にのぼるケースが多く、経済的な意味での効果は大きいです。

広告が不要で、内覧の手間も省ける

仲介は購入希望者による内覧が行われます。買主が決まるまで何度も内覧の準備に時間と手間を取られることもあるでしょう。
その点、買取は不動産業者による内覧が一度行われるだけなので、手間を省くことができます。また、買い手を探すために広告を打つ必要もありません。
さまざまな理由から、家やマンションを売却することを知られたくない人にとって、都合がいいと言えます。

瑕疵担保責任が問われない

仲介によって物件を売却し、物件に何らかの欠陥が認められた場合、売り主に修復の義務が生じることがあります(瑕疵担保責任)。しかし買取ではこれを問われないため、売却後のトラブルを防ぐことができます。

不動産業者による「買取」のデメリット

メリットが多いように見える買取ですが、見落としてはいけないデメリットもあります。

 買取仲介
売却価格相場より低い相場価格が目安
希望売却価格自分で設定できない自分で設定できる

買取のいちばんのデメリットは、仲介に比べて売却価格が低くなる可能性が高いことです。一般的に、仲介で売却する相場の7~8割が目安です。
前述の通り、買取には仲介手数料が発生しないため、不動産業者は物件を買い取った後、その物件をより高く売却して利益を得る必要があります。そのためには、リフォームや増改築によって付加価値を高めたり、広告を打ったりしなければなりません。そうした手間や経費を考えると、買取の売却額が低くなるのも納得です。
「売却までの時間や手間を大幅に削減できる一方、売却価格は低くなる可能性がある」それが買取の特徴です。

また、買取業者が見つかりづらい点もデメリットのひとつです。 特にマンションの場合、「新耐震基準、専有面積40㎡以上」といった、条件を付けている大手の不動産会社が多いです。

買取に向いている不動産・マンション

仲介と買取、どちらを選べば良いのか、自分で判断するのは難しいですよね。
まず大前提として、1日でも早く売却して現金化したい人、誰にも知られずに家やマンションを売却したい人、移住予定のない家やマンションを相続した人は買取がおすすめです。
また、以下のような不動産も、買取が向いていると言えます。

  1. 築年数が30年以上経過している古い物件
  2. 旧耐震・事故物件など、買い手が見つかりにくい物件
  3. 一度もリフォームしたことがない、最新の設備でないマンション
  4. 長年、仲介に出しているが買い手がつかない物件

築年数が古く、一度もリフォームしたことがない家やマンション、自殺や事件が起きた物件は、一般的な売却方法で買い手を見つけるのは困難です。
しかし買取なら、古い戸建ては取り壊して更地売却したり、古いマンションはリフォームをしたり、不動産会社がすべて対応するので、売り主が修繕したり、手を入れる必要はありません。

仲介に向いている不動産・マンション

時間に余裕がある人、少しでも高く売却したい人は仲介の方がおすすめです。
また、以下のような不動産も、仲介が向いていると言えます。

  1. 築浅の物件
  2. 人気エリアの物件
  3. 最新の設備、管理状態のいいマンション

不動産会社が売却価格を決める買取と違って、不動産会社が査定した価格をベースに、自分で売却価格を決めることができるのが仲介の強みです。
そのため、駅近や人気エリアといった、購入希望者のニーズが高い家・マンションをもっている場合は、価格を上げて募集することもできますし、価格が高騰している時期なら、想定より大きな利益を受ける可能性もあります。

最後に、買取と仲介の流れを確認

家やマンション買取の大まかな流れをまとめました。
買取は約2週間~1ヶ月、仲介は約3ヶ月で行うイメージです。

買取仲介
1売却の相談・準備売却の相談・準備
2価格査定・現地確認(内覧)価格査定・現地確認(内覧)
3売買契約の締結売買契約の締結
4引っ越しあり
5引き渡し(残代金受領)契約条件などの交渉
6売却の相談・準備
7引っ越し
8引き渡し(残代金受領)

査定には、固定資産税評価証明書、記済権利書(または登記識別情報)、建築設計図、地積測量図、耐震診断報告書のような書類が必要となります。事前に確認のうえ、準備しておきましょう。
また査定には、「机上査定」と「訪問査定」の2種類がありますが、より的確な買取価格を提示してくれるのは訪問査定の方です。
できる限り、複数の不動産会社に依頼して、比較することをおすすめします。

買取金額やスケジュールが決まったら、契約の締結です。 ここでは、家財道具や空調設備などの処分の有無、不動産や現金引き渡しのタイミングはいつなのか、しっかり話し合いましょう。これらはトラブルになりやすい項目でもあるので、文書に残しておくのが賢明です。

契約を締結したら、物件の引き渡しと売却金の受け取りを行います。 引き渡し日を迎えるまでに、抵当権抹消の手続き、管理会社や公共企業への手続き、引っ越し準備などを済ませておきます。
査定から引き渡しまで、仲介より期間が短いため、自分で準備しなければならないことが多く、慌ただしくなることが予想されます。依頼した不動産会社に相談しながら、スムーズに進めましょう。